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現場の計測管理 座談会
現場の計測管理をどのように推進するか
ものづくりと計測管理と校正業務
2023年8月

On-site measurement management discussion of Sponsored by Metrology Data Bank

現場の計測管理 座談会 現場の計測管理をどのように推進するか ものづくりと計測管理と校正業務 2023年8月(日本計量新報 計量計測データバンク主催)

現場の計測管理 座談会 現場の計測管理をどのように推進するか ものづくりと計測管理と校正業務 2023年8月(日本計量新報 計量計測データバンク主催)
On-site measurement management roundtable discussion of Sponsored by Metrology Data Bank
1.開催日時:2023年8月
2.テ ー マ:現場の計測管理をどのように推進するか ものづくりと計測管理と校正業務
3.参加者:企業計測管理担当者者、生産企業の計量士

出席者
氏名と勤務先(以下すべて敬称略)

AI 計測機器製造会社 計量士
MU 電気機器製造会社 計量士
RK 非鉄製造会社 計量士
AS 自動車関連製造会社 計量士
KT 自動車製造会社 計量士
中野廣幸 中野計量士事務所 計量士
TH 自動車部品製造会社 計量士
TH 航空機関連製造会社 計量士    
YW 自動車関連産業 シニアアドバイザー
NY 包装材料製造会社 計量士
阿知波正之(司会)阿知波計量士事務所 計量士


現場の計測管理をどのように推進するか
ものづくりと計測管理と校正業務などについて


計測活動をどのように推


阿知波正之(司会) 
この座談会は今回で12回を迎えることができ、まずこのような機会をいただきました日本計量新報社に感謝いたします。今回電気機械、自動車、自動車部品、航空機、金属材料、包装材料など業種の異なります製造業で計測管理に関わる皆さんに参加いただきました。今回討論を進める基礎として、先日愛知県計量士会の総会において、田中亀仁さんにご講演いただきました「自動車製造業における計測管理活動」の資料を事前に配布させていただきました。

 製造業の計測管理といっても、多くの部品を組み立てる自動車産業、多量の部品を低コスト生産する部品産業、一つ一つの作業を確かめながら組み立てる航空機産業、多量の材料を連続生産する材料産業では品質管理、計測管理の方法も異なりますことが考えられます。そのよう背景の現場で活動されています皆様から、計測管理の現状と課題を語っていただきたいと思います。

 はじめに、過去の本座談会で討論された要点について、本年2月に開催された、日本計量振興協会第17回全国計量士大会で、植手稔計量士により「製造事業所における現場の計量管理の現状と課題」を発表いただきました。そこで植手様からご紹介をお願いします。

定年を迎える計量管理担当者と後進の育成

MT 
再雇用で同じ会社で計測管理を続けています。全国計量士大会の座談会で議論された内容をまとめて発表しました。参加者の方より色々厳しい意見も頂きました。計測管理はできていて当たり前ではあるものの、座談会の中では一貫して計測管理を少しでも良くしようとの思いで色々なアイデアを出してきましたのですが、結果的には思ったようにやり切れなかったという発表となってしまい、もっと建設的なポジティブなまとめができなかったのかと反省されます。

 この座談会は今までよりもっとポジティブな話題で議論できれば良いかなと思っています。現在、私は他の事業場から転籍してきました計量士の後輩と一緒にやっていますが、ご多分に漏れず、計測器管理の校正業務を主体にやってきたようで、計測器の校正のみでは成果が見えないし評価もされず、計測器管理から計測マネジメントに仕事の仕組を変えていかないといけないと思っています。計測マネジメントができる人材育成はどうすべきか、ご提案していただければと思っています。

KM いつの間にか定年ということになりますが、性格上何でも自分でやってしまって、人に任せられないことがあって、これではいけないと思っています。いなくなってしまえば皆自立してやってくれるのではないか。

 若い時は校正作業が中心で、30代後半から計測管理のマネジメントを担当し、社外の監査を色々受けてきて、その中に得るものが多かったと思い、これをちゃんと定着させるにはどうしたらよい。

 やることは一緒なので、やる気の問題だと思ってアプローチできればと思っています。

YW 植手さんは定年を迎えられたが、私は定年後、仕入れ先の教育をやっています。QC工程表を中心に製造工程を見ると、不十分な点が多くみられます。

モノづくりの現場と計量管理

TH
 校正作業者の育成や計測管理に関わる規程の整備をしていますのが、校正業務を維持していくことが主業務です。「現場の計測管理」に関しては、「何処」が「何を」やるべきかを規定するのが難しい。現場の計測管理では生産技術、生産現場が主になります所属は「品質保証部」でモノづくりに直結しています部署ではなく、現場の計測管理をどうするかです。

NY 包装材料を作る会社におり、昨年までは工場の品質管理をしていました。ISO事務局なども担当しています。

材料の加工技術と試験技術

RK 勤め先はアルミ素材の製造会社です。一言にアルミと言っても、お客様の用途に合わせ軟質材から硬質材まで製造しています。

 所属は品質保証は、アルミ中の成分や素材強度、計測機器を分析・試験・管理しており、精度保証する上で重要な立ち位置にあります。国内は3拠点の製造所(名古屋、福井、深谷)で鋳造からコイル・シート・棒・型材の製造まで行っています他、グループ会社は、スリッター工場、加工工場があります。

 業務は試験技術であり、新しい試験装置を導入する時は常に仕様精度と実機精度を比較し、自身が納得した上で決定するようにしています。

昔はできていたはずの計測管理が、いつの間にかできなくなっていることがある

AS
 所属は本社機構の品質管理部門です。本社には現場はなく、実際のモノづくりの品質管理もしていない部門で、主な業務は各工場や協力工場の支援で、例えば教育とかモノづくりの仕組みづくりの支援をしています。

 先ほど計測管理は当たり前という話がありましたが、協力会社を支援するなかで、よくみると昔はできていたはずの計測管理が、いつの間にかできなくなっていることがありました。その原因の1つには、人づくりがあるのではないかと思っています。

安全、安心が消費者の購入動機の第一番の要素になってきている

中野廣幸
 10数年前まで電気器具製造会社に勤めており、その後計量士として仕事をしています。勤めているときと今は大分変ってきていると思います。勤めているときは安くて良いものを作ることが求められてきましたが、今は高くて良いものが求められるように変わってきています。

 宴会で大吟醸が振舞われると、皆さんそれを楽しまれます。大吟醸というのは実に高いお酒です。安くて、そこそこに良いものより、高くても本当によいものが評価される時代になってきています。その中で、ちゃんとした製品であることを計測して保証することが重要になっています。

 計測は付加価値の無いもののように見られてきましたが、安全、安心が消費者の購入動機の第一番の要素になってきています。安全は確実な工程管理から生まれるものであり、安心はそれを検査でしっかりと確認することから生まれます。そのどちらもちゃんとやっていることが、付加価値として認められる時代になってきています。それを実現するための計測の重要性を訴え切れていないのが現状ではないか。

計測器の校正業務の改善

AI
 勤務している会社は30年程前に、自動車の技術開発を優位に進めることを目的に設立され、専用計測機器の開発、製造、販売をしてきました。

 入社以来、計測機器の校正業務を担当し、3年前から製品評価技術基盤機構(nite)のJCSS審査員もやっています。校正マニュアルの作成、不確かさの評価をやってきて、現在JCSSで10区分、ASNITEで2区分の認定を取得するまでになりました。

 不確かさが何のことか分からないメンバーもいましたが、現在は指導できるメンバーも育ってきています。校正業務は品質管理の1つの手段に過ぎないので、工程設計部署と使用ユーザーのことを知らないとよいアドバイスはできないと最近は感じています。

TH 会社は航空機関連機器を製造しております。現在取り組んでる課題は校正をいかに安くするかという着眼点にして改善を進めています。この座談会を通して校正業務のコストダウンとか質の向上とかのヒントが得られればと考えています。

モノづくりにおける測るという目的と計測管理

阿知波正之(司会)
 皆様から現状の仕事とその課題を話していただきました。外部の審査において、計測器の使われる状態と校正範囲が一致していることが要求されているとのことで、校正の目的からすれば当然と言えます。
 モノづくりにおける測るという目的と計測管理が合っていますかといったところをモノづくりと計測管理の関わりを述べてください。

最適な道具を備え、それを正しく校正する

KM
 「正しい道具で正しく測る」見方で振り返ってみると、正しい道具としては校正の前に本当に測りたいものに対して計測器が足りていますかということが一番大事で、ややもするとこれがあるからこれを買うということがあって、原理・原則から最適な道具を備え、それを正しく校正することになります。

 正しく測ることがありますが、計測器を校正する人は計測器の仕様を満足していればよいとして、計測器の仕様を満足するよう校正しています。例えば同じノギスでも、使う部署により、50㎜を使う部署もあれば、100㎜を使う部署もあるが、校正する側はJISにより0~150mmを等分割して校正することになりやすいです。

 50mmを測っている部署では50mm±10mmの校正結果があれば問題ない。100mmを測っている部署では100mm校正があれば問題ないということがあって、同じノギスでも校正の仕方は測りかたによって違うことを知ることが大事で、監査でも要求されています。

 校正の担当者は校正のことはプロであるが、その計測器はどのように使われ、何処の部分が重要かは言えないのが現実で、使われ方を知っているか、いないかで効果が違ってくるのです。

使う側と校正側の情報が途絶えて、何のために校正をやっていますのか分からないことが起きている

AS
 昔は測る目的に合わせ道具を揃え、それを管理してきました。私が推測するにはISO 9001を導入してから、計測管理の業務から校正作業だけを切り出してしまったため、そのような問題が起きたのではないか。

 はかりの事例で、校正作業ではフルスケールの範囲の5点を校正していて、現場の測定は微量のごみを測定しており、ゼロ付近を使っていたので、校正はフルスケールでなくゼロ付近でよかったのです。使う側と校正側の情報が途絶えて、何のために校正をやっていますのか分からないことが起きており、情報を上手くつなげるようすることが重要。

MU 計測器の校正で不合格でありましたとき、前回の校正から今回の校正の間に測定したデータの妥当性を評価する仕組みがあります。電流計の校正でフルレンジを校正して、例えば10Aレンジが不合格でしたとの結果を使用部門に見せると、そのレンジは使っていませんという回答が10件中9件あり、そうであるなら最初から校正ポイントを絞って校正すればコストも削減できるし、不合格という判定もなかったかも知れません。

 計測器の管理部門と使用部門とでは同じような感覚でないことがあります。ISO9000の監査対応で校正ばかりに重きをおいていた点が反省されます。先ほどの発言にある「正しい道具」を保証するため校正に力を入れ過ぎていて、使用部門から見れば「そんなところまでやってもらわなくても良かった」というようなこともあって、計測管理は無駄なことをやっていると見られていた節があります。

 効果的な校正をするためにも新しい計測器が導入されたとき「どこが使用ポイントになりますか」という情報をもらう仕組みになっていたとしても、それがかわってしまうこともあります。

KT 関連会社ではかりが使用されていて。JISに従い、決められた質量で、繰り返し検査をしていたが、作業の負荷が大きく労災の心配もあり、どのように管理したらよいかとの相談がありました。

 100kgしか測らないとのことなので、100kgの前後を見ればよく、中間のポイントは不要ですよとお知らせしたら、そのような考え方もあるのですねと言われ、使い方に応じた校正の仕方をすべきで、同じはかりでも使い方により変わり、それが効率化になります。

 効率化というと校正を止めてしまうのは誤りで、必要な校正はやるのが効率化の要点だと思います。

10gを測る 使用範囲の下限が20g はかりの選定のミスマッチ

中野廣幸
 流通でも問題があります。お茶を測るはかりに3kgのはかり使用していて、お茶は何g測るか聞くと、10gを測っていますという。なんでそのはかりを使っているか聞いてもよくわからず、おかしいと思っているが使っています。はかりの説明書を見ると使用範囲の下限が20gとあり、いいのかと聞くと入ってからはどうしようもないとしています。このようなミスマッチがあります。

ISO9000の審査と測定の不確かさ

NY
 ISO9000に関わる校正の問題で、校正はしていますが不確かさまで含めて校正ができていますかというとアウトです。現状では「不確かさとは何ですか」という段階です。皆さんのところの現状はいかがですか。

AS 不確かさの要求はありますか。

NY 計測用語の定義から不確かさのともなわない校正はあり得ないのではないでしょうか。

AI JIS計測用語の定義から、校正に不確かさが関係ないとは言えません。

NY 社外の講演会でそのようなことを聞くと、ISO9000の審査員から指摘されると通らないとの懸念があります。

AI 校正結果に不確かさを含めたガードバンドが、決めた許容差に入らないということですか。

NY 不確かさがわかっていないので、不確かさ抜きで校正したつもりになっているのが現状ですが、それでよいかという問題です。

TH 審査で直接不確かさを要求されたことはないですが、間接的に「計測器毎とか人毎によって測定結果は全く同じですか」という質問がありました。不確かさやGR&Rの結果等、で回答し、何らかのツールを使って評価したばらつきについて回答しています。

AI 妥当な管理値が設定されていればそのような質問にはならないのではないでしょうか。

NY 今の段階では審査員が詳しくないので、そこまではありません。

AS ISO9001の審査員に聞いたことがありますが、不確かさは要求ではないとおっしゃっていました。

MU ISO9000―2015年度版では組織は結果が妥当で、信頼できる測定結果が得ることを確実にするために必要な監視および測定のための資源を決定、供給する。と書かれています。ということは結果が妥当ですよと言えれば不確かさは問題ないといえる。

 確かにトレーサビリティの定義には不確かさが含まれていますが、問題にならない範囲で妥当な結果ですよと言えれば良いと思います。ISOの審査においても従来の器物管理主体からマネジメントの計量検証とかに目を向けつつあります。計測マネジメントの手段とか色々なアイデアがこの座談会でも話されてきましたが、やり切れていないのが現実で、それを仕事の仕組みに落し込んでしまえば定着する。

 三次元測定機の校正周期について意見交換したことがありますが、校正費用が高く、使用頻度も高いですだが、3年周期でやっています。16年ほど前、中野さんと損失関数を使った校正周期の決め方の研究をしたことがあり、校正周期の妥当性の検討を進めたいと考え、若いメンバーと検討しています。

現場測定の不確かさと切れ目のないトレーサビリティ

阿知波正之(司会)
 先ほど校正における不確かさの話がありましたが、現場の測定における不確かさについてはその要因が多く、それを評価するのは難しいです。そこで現実的にはゲージR&Rのようにばらつきを評価し、簡易的な方法でおよその不確かさを評価することが重要ではないか思います。不確かさの値を厳密に求めるより、およそであっても評価することが必要だと思います。

NY その意見はよくわかりますが、不確かさを計算していって最終的には使っている現場のばらつきが大きく横並びでそれをAタイプの不確かさをつけるとなると大手を振って切れ目のないトレーサビリティと言える。

AI GUMの不確かさガイドを勉強して、JCSS校正ラボでの不確かさを求めてみると、支配的な要因は数個しかない場合が多く、工場などで通常使用される計測器の場合、特定の要因に入ってしまうのがほとんどではないか。

阿知波正之(司会) 現実的な「不確かさ」を知っていることが大切です。

NY それは理解できますが、私の立場はISOの事務局であり、個別の部門が審査のときうっかりした答えをすることを避けたいわけで、例えば「校正」と言われたとき「計量士が検査していますから大丈夫です」と答えてしまう人がいますと、審査員によっては「計量士は法定計量に限られますよね?もう少し詳しく説明して下さい」となります。そこで、答え方に気をつけてもらうように展開しています。

測定の不確かさの改善が重要 不確かさの要因は人によるばらつき、ものによるばらつきが大きい

阿知波正之(司会) 重要なことは審査への対応より、不確かさが大きく測定結果に影響を与えていて、不確かさをいかに改善していくことが、現場の課題ではないかと思います。

AS 基本的にはモノづくりの測定においてばらつきである不確かさを減らして信頼の高いモノづくりが大切であり、不確かさの要因は人によるばらつき、ものによるばらつきが大きく、顧客要求を満足するようにそれらを減らしていけばお客様も満足につながり、ISO9000的にもよいと思います。ばらつきが大きくて要求を外れるモノは即不良になるのではなく、信頼性や耐久性が低く、寿命などが他と比べて低く、お客様の不満足になると考えています。

現場の使用条件と校正条件 現場の使われ方をよく知って校正することが重要

使用環境と校正環境 現場の使い方が基礎

KT 以前ISOの審査で校正の温度環境で指摘を受け、1年後に改善したが、よく考えてみると現場の使い方は5℃~30℃の環境で使っていて悪い製品は出ていないということは、そのゲージはその環境でよいはずで、校正も5℃~30℃でよいはず、そうは言ってもその基準となりますものも同じ環境に置いて、そうすることによって、同じ熱膨張だから関係ないですと説明したら、その後その指摘はなくなった。20±5℃なら春・秋に実施したらとの提案が審査員からありましたが、でき分けないので、使用環境に合せることとした。現場の使い方が基礎だと改めて認識しました。

阿知波正之(司会) 中央精機の高井さんが「計測標準と計量管理」に校正室の温度管理について執筆されています。校正室の温度条件はJISの標準条件から20±2度としていたが。空調設備が高額となりることから実際に校正するゲージと測定機の温度差と熱膨張の影響を不確かさとして評価して、校正室の温度範囲と温度慣らしの条件を標準化事例で、共通的な標準を適用するのではなく、実際に校正する計測器に適した条件を実験的に評価し、設定されたところに価値がある。

 現場での校正の事例で、研削工程の測定器の場合、測定物の研削液をきれいに拭きとりしてはと指摘したら、測定工数が増加するのでできないとのことで、測定器の校正に使う標準ゲージを測定物と同じように研削液を着けて校正したところ、研削液の影響が無視できる結果が得られたことがある。現場の使われ方をよく知って校正することが重要です。

不確かさがどこまで許されるかという許容不確かさという概念が大切

中野廣幸 不確かさがどこまで許されるかという許容不確かさという概念が大切だと思います。トレーサビリティを確保する目的は、測定の不確かさを十分小さく管理するためにあるわけであって、不確かさを問題にしないトレーサビリティはあり得ないわけです。世の中には不確かさが大きく問題になる場合があります。

 2019年5月20日に質量の定義が変更になりました。今までの各国の質量標準はデータを見ると、60~170μgくらいの違いがありました。質量の国際標準を作った当時は、このくらいの違いは問題なかったかもしれませんが、しかし現在、空気中1立方メーターあたり70μg以上のPM2・5が検出されると警報がでます。70μgで警報を出すのですが、元になります標準が60~170μgの違いがある。これでは70μgが正確に計れるわけがない。

 新しい質量定義では改善されて標準の不確かさが許容不確かさの範囲に入ってきていますが、計測の目的によってはトレーサビリティのおおもとになります標準の不確かさが問題となっている場合があります。

不確かさを出すことによって、不確かさの範囲内の変化か、何らかの異常があるのかを判断し易くなった

TS
 KTさんの話で「校正ポイントは使用範囲を含むこと」に対応するため、「校正仕様書」を作った。生産技術部門から校正部門に校正依頼をするときに「QC工程表」を基に使用する目的、特性や特性値から「校正仕様書」を生産技術部門が記入して、それに応じた校正ポイントや不確かさから校正先や内容を決めています。

 1年以上前から実施していますが、生産技術部門に目的を伝えるのが難しい。校正部門から生産技術部門に説明したときも、計測管理の仕事が増えるので、効率的な仕事ではないとか、本当にこの方法がよいかとの意見がある。計測管理に関わる「QC工程表」の情報を校正部門が確認できる仕組みにすればよいが、それを考えるのは校正部門なのか、生産技術部門なのかをこれから考えていかなければならない。

 生産部門の測定のばらつきはGR&Rで評価しています。校正部門は高井さんが考えられた簡易的な方法で不確かさを求めていますが、「許容不確かさ」は決めていない。しかし、不確かさを出すことによって、校正結果が過去のデータから変化したとき、不確かさの範囲内の変化か、何らかの異常があるのかを判断し易くなりました。不確かさによって、ばらつきの要因が整理されてきました。

中野廣幸 不確かさというかばらつきに気づかずにいた例が、MTさんありましたね。

「何を測る」「どのポイントを測る」「精度比はどうか」

MT 全部の計測器が「校正仕様書」で使用のポイントと校正ポイントが使用部門と校正部門が同じフェーズでできています仕組は立派だなと思います。なかなかそこができてなくて、「誰がそれをやる」のかがあり、校正部門がやることなのか生産技術がやることなのかだか生産技術はこの様な事にはあまり関心がなく結局置き去りになっています。

 でもそこが本当に大事なところで、「何を測る」、「どのポイントを測る」、「精度比はどう」などが仕組に落とし込めていますところは少ないのではないかと思います。昔、ダイヤルゲージの選定ミスがありました。

 元々の工程では目量が1/100 mm で精度比もOKでありましたが、工程が変わり1/1000mmのものを使用すべき工程に目量1/100mmのものを転用してしまったのです。この場合のダイヤルゲージの指針の変化は1目盛以内で検査合格ですと判断していたのです。さすがに測定者も針がほとんど振れないのはおかしいと気づき、現場から校正部門に計測器は大丈夫かと問い合わせがあり、ダイヤルゲージの選定ミスであることが発覚しました。工程が変化した変化点での管理ができてなかったのです。

 KTさんの資料には変化点の管理で、測る対象が変わった場合、もう一度その計測器でよいか見直しすることを仕組(帳票)の中に織り込むことが大切であるとされています。

審査員によっては工程能力が高い場合は調査不要ではないかとの意見も

阿知波正之(司会) GR&Rについて、最近加工のばらつきが小さくなって、%GR&Rが不適合になることがあると聞いていますが。

AS 工程能力が高い場合、%GR&Rを全変動(TV)に対するR&Rの比率でみるとそのようなことが起きるので、規格幅で評価することもある。

TS 審査員によっては、工程能力が高い場合は調査不要ではないかとの意見もありました。

阿知波正之(司会) でも気を付けなければいけないのは先ほどのダイヤルゲージの例のように変化が検出できないと工程能力が見かけ上大きくなることがある。

ISO10012の計測設計が重要だがそれと校正が上手くつながっていないのではないか

阿知波正之(司会)
 今の話を聞いていると、ISO10012の計測設計が重要でそれと校正が上手くつながっていないのではないかと思います。YWさんの発言されたQC工程表に計測設計が反映されていることが重要ですが、現状はいかがでしょうか。

QC工程表が原点で、標準書と検査規格書があり、検査規格書どおりか見ていくと現場の製造工程と合わないことがある

YW 品質保証の責任者が変わり、新しい方針で、モノを作って流出防止ではだめで、モノづくりのスタートからきちんとしなければだめで、QC工程表が原点で、標準書と検査規格書があり、検査規格書どおりか見ていくと現場の製造工程と合わないことがあります。

 例えば成型でもブロー成型と射出成型では出来上がった製品の形状が異なるところがあります。ブロー成型では各部の寸法が異なり、射出成型のように寸法のばらつきを抑えることが難しいが、コストダウンはできます。したがって設計者が成型方法を指定した段階で、寸法のばらつきが決まってくるので、締め付けのバンドの追加などの構造上の対処が必要になります。製造現場の実態と設計の乖離の問題があります。

NY ブロー成型は安価で採用されていますが、寸法のばらつきは大きい、寸法のばらつきを抑えるには工法を変えなければならずコストが上がるがどうしますかという問題で共通の課題があります。

QC工程表を工程の知識とか計測のことを分かっていない人が書くことでの不始末

TS 例えばQC工程表でダイヤルゲージが書かれている場合、何処までの仕様を記載すべきかを決めるのは難しい。

NY 例えばダイヤルゲージであれば「ダイヤルゲージ」のみ書いています。やりがちなのが、現状あるものを書いており、変えるときに同じものを買うとか粗い目盛りのものを買うとか、両方考えられる。

YW 同じように「ダイヤルゲージ」のみ書かれています。それが問題となってくるので、できる限り細かく書いた方がよい。

MU QC工程表をだれが書いているかが重要です。工程の知識とか計測のことを分かっている人が書いていれば良いが、そうでない人が書いていると、われわれプロが見ると「はあ?」と思われることがあるが、われわれも工程全部を監視できるわけではないので、現場で困ったことが起き、こちらの耳に届かないと分からないです。

YW 「いつもと違う」という意識でみないと気付かない。クレームが起きて調べてみるとなんだこんなことをしているのかということが起きる。

NY QC工程表で望まれるのは「ダイヤルゲージでこの範囲でこの精度で測れるもの」まで書かれると誤解がなくなりますがそこまではいかないです。

TS 計測器の保全をどうするか検討しています。保全部門も精度の情報がないと、間違ったものを導入してしまうとか、更新できないという問題が起きます。

RK QC工程表は製造部門の作成・管理であり、品質保証部門の関わりは僅かなので、私は詳しくないが、QC工程表には試験装置の記述はするものの、小道具の指標は書かれていない。どちらかと言えば現場の作業標準に落とし込む形にしています。そのようにしないと、改定が頻繁に発生する。現場の作業標準に準ずる形にした方が管理し易いと考えています。QC工程表は製造部門の管理で、品質保証部門は携わっていない。

MU いろいろな部署で計測を管理しようとする風潮がでてきて、それを横断的にマネジメントしているところはなくて、それぞれ勝手にこれが正しいものとして管理しています。計測管理部門は最初に導入するときに精度比を確認し校正しており、それが途中から変わってしまっても分からない。外部監査で現場で計測の不適合が見つかると「計測管理に責任がありますよ」と言われないですか。

計測器の選定・導入を生産技術部門の担当者任せにせず、計測器に詳しい部署が導入に関われば、校正の標準化もやり易くてなる

RK
 現場から「このようなものを測りたいが、どんな測定器を選定したら良いか」と相談があれば精度管理まで協力しますが、現場で勝手に購入されることがままあり、その場合は管理できません。

NY 「相談してから買って下さい」としていますが、相談無しに買っちゃったりします。

MU われわれの管理の範疇はどこまでだろうと思うと、全部を監視しないと心配になります。それは現場が勝手にやったことですよと言いたいです。

RK 当社は品質保証部内に品質保証課および品質管理課の2部門としています。品質保証課の位置付けは、導入仕様の問い合わせと精度管理に対応、品質管理課はそれを正しく使っているかを監査する部門としています。従って、ISOに関することは品質管理課の対応となります。

TH 計測器の選定・導入を生産技術部門の担当者任せにせず、計測器に詳しい部署が導入に関われば、校正の標準化もやり易くてなるのではないかと考えています。実際は多品種の計測器が導入されるため、校正部門の自動化が進まないです。品種が多いと手作業の方が早くなります。導入の管理をすれば、自動化して全レンジを校正しても、個別に範囲を絞って手作業をするよりも早くできます。

阿知波正之(司会) 自動化の面からも、機種の標準化が必要で、使う部署での意識は標準化してあればそれを使うのではないでしょうか。

TS デジタルマルチメータであれば、桁数、ハンディ型、据え置き型、精度などで数種類の機種に規制してみてはどでしょうか。

AI 機種を絞ることによるリスクも考えておく必要があります。

阿知波正之(司会) 標準化の手順を決めておけば問題ないです。

AI 計測システムの一部として導入される場合もある。

阿知波正之(司会) 標準化するときそのコストについても購買部門と協力して、年間の購入予測数を示し価格交渉をしたことがあります。

TS 故障などに備えた予備機の準備も容易になります。

MU 生産技術でやるべきだと思いますが、その時その時に2社見積もりで安い方に決定して、仕様と目的に差異が生じたり、詳細は業者に丸投げして入荷するまで知らなかったということまで起こり、計測管理としては。そのような事を管理するのはどこかと思いつつ定年を迎えてしまいました。

 そこを管理すればコストも抑えられるし、品質も安定すると思いますが、現状では現場での加工の計測から校正までマネジメントできる人が必要と経営判断されていないので、そこを変えないといけないです。

計測管理の課題について

阿知波正之(司会)
 測管理の課題について話して下さい。

何でやらなきゃいけないかの目的がわかる人

KT ルールを決めてルール通り作業をすることがおこなわれていますが、「何でやるの」と聞くと、「言われたから」とか、「決められていますから」という答えがあって、その目的が答えられないとか、しゃべれない人が多くなってきているように思われ、今までは監査的にこれができていないとかのチェック的な活動で、何でやらなきゃいけないかの目的がわかる人が増えればと思っています。

YW 私は教育を担当していますがその基本は市場クレームについて「このようなことを守らなかったから市場クレームが発生した」事例から説明していて、例えば、少々の外観は問題ないが、シールパッキンがズレていますと水漏れが起きて市場クレームになりますから、ここだけは守れと指導しています。

 現場には外国人も多く、昔はブラジルのポルトガル語でよかったが現在はフィリピン、ベトナム、バングラデシュ、ネパールと変化し多言語が必要で伝わらないです。監督者が現場で指導しなければならないので、大変です。納入先の監査で指摘されると改善が進むが見逃されると大きな問題になります。

材料試験における不確かさの適用

阿知波正之(司会) 何時か、力学量のトレーサビリティワークショップの発表会がありましたが、材料の試験についての課題はありますか。

RK 硬さ試験や引張試験は破壊試験であり、ばらつきや結果の整合性について検証は難しいです。例えば、試験結果が規格を外れた場合、確認の為、再試験することがあるが、同一箇所ではないので試験結果の評価について悩ましい時があります。破壊試験なのでGR&Rはできない。ばらつきの評価になりますが、その基準について悩みます。

阿知波正之(司会) トルクの場合も同じで、破壊試験の場合、モノのばらつきも含め評価した経験がある。

RK 同材が多流動していれば良いが、多品種少流動の場合は評価が難しい。同一材が理想だが、類似材はどこまで適用できるか事前評価しておく必要がある。

阿知波正之(司会) 材料試験における不確かさの適用はいかがですか。

RK 試験機のトレーサビリティやX-Rs評価結果については監査されるが、今のところ不確かさの要求はない。

阿知波正之(司会) 顧客によって、校正の要求は違いがありますか。

RK 硬さ試験については特にないが、引張試験の場合は大手顧客の監査に対して、同試験機を使用していますという回答で他の顧客の監査への説得力が生まれるらしく、校正の要求は無い。

RH 社内校正できず、高精度の計測器を外部校正機関に出した際、不確かさが大きく、新しく購入した計測器が校正後校正外れになることがある。例えば、高精度の湿度計で、メーカーの許容差は0.8%で外部校正機関の不確かさは1.5%で許容差を外れることがありました。

RK 類似のケースで、使用者は精度が良い計測器を購入したいが、よくよく調べると、これを校正するとなりますと、JQAではなく産総研に出さなければいけない精度のものを選定していますケースがありました。そこは計量士として、計測器の選定について指導する必要があると考えます。

使用規格に対して必要以上の高精度のものを購入していた

RH そのような場合の対応として、使用部門が使用規格を調べたら、必要以上の高精度のものを購入していたので、使用規格に合わせて許容差を決めて再判定した。

MU メーカーの規格ではなく、独自の判定基準をお持ちですか。

 用途に応じて、個別に判断基準を厳しくしたり緩くしたり対応していますが、その際、必ず使用部門から資料化したものを提出してもらい、判断基準を決めています。

MU 必要以上の校正もしているのではないか。

RH 大半は計測器に応じて校正していますが、例えば温度計について、温度範囲と校正ポイントの要望があるときは使用部門から資料を提出してもらい対応しています。特殊工程関係はそれを明確にしなさいという要求があって文書化しています。

適正計量管理の意識が低下して会社の意義も低下していることと計量士の後継者の育成

MU 後継者の育成について、どのように考えられていますか。

AS 計量士の後継者育成は、会社がどの程度重要と考えていますかで、適正計量管理事業所としての重要性が感じられてなく、次の計量士として資格取得計画を立てたいが難しい。特定計量器は少数なため、それだけ別に管理すればよいとの意見もあり、難しい状況です。

NY 特定計量器というと例えば、適正計量管理事業所はトラックスケールの自主検査は1年周期であるが定期検査は2年周期で適正計量管理事業所はコスト高との意見も出てきて、適正計量管理の意識が低下して会社の意義も低下しています。計量士のように社内に絶対必要な資格でないと認知が薄くて、現在の部署は業務的には関係がないはずなのに、「資格があるのだから、計量士と作業環境測定士の仕事はやっておいてね」と言われる。後継者の育成も会社の認識を変えるのは難しい。

AS それなりの会社では人材がいますので、計量士の資格を持った人が辞めても、何とかなりますと考えていて、育成を訴えても、なかなか取り組んでもらえていない。

NY 一方で自分が何故その仕事を始めたかと言うと、前任者が辞めていくので仕方なく、自分でやるしかないと思ったから。同じように「自分がやる」と言う若手が出てくればよいが、もう少し会社としても処遇を改善するか、逆に資格をとらないと昇格させないとかの施策がないと一担当だけでは解決しない。

阿知波正之(司会) 会社としての計測管理はどのように実行されていますのか。

NY それは各事業部門に任されており、事業部門ごとに品質保証を実行しています。全社としてはISO事務局として関与しています。各事業部門からそれらしき人を選任してもらい連絡会義的なものを組織しています。

阿知波正之(司会) 業務としては事業部毎に分散化して管理するか、全社集中して管理するかは企業により異なりますが、全社の規定で明確にしておく必要があるのではないか。

NY 計量管理規程はISO対応のためにはあるが、弱い。

マネジメント層に計測管理が必要であることを「訴えて」いくことが必要になってくる

AS 計測管理担当者の育成について課題を感じています。仕入先を計測管理の観点から見た時、昔はできていたことが、世代交代を経てできなくなってきた。計測管理は当たり前の仕事で、その言葉は知っていますが、何をすることかや、目的について教えるマニュアルとか教科書がないため、間違っていても気づかないのではないかと考えています。

 そこで3年度ほど前から関連会社で計測管理の教科書となります初級編、中級編ハンドブックを作り、いま上級編を作っています。初級編では当たり前のことを伝える内容としたが、全体の反応は意外と好評でした。やっぱり今まではテクニカルな内容の教科書はありましたが、当たり前のことや基本中の基本を伝える内容のものはなく、展開した仕入先、一緒に作成した関連会社社内で教育資料に活用されていると聞いています。

 上級編はISO10012の要求に対応できる内容として作成中で、2年間かけて作る予定です。またこのハンドブックだけでは片手落ちで、書いてある内容を実施するのは人であるから、その人材育成も並行して実施することが大切だと思っています。さらにリーダにはマネジメント層に計測管理が必要であることを「訴えて」いくことが必要になってくる。計測管理はやれて当たり前とか、すでに出来上がった管理でもうこれ以上ないと思っています上の方が多い。

 ばらつきを改善してもそのメリットが見えないと、なかなかやってもらえない。計測管理のこれからは、再発防止とか未然防止とかと同じと考えていて、効果が見えないものはなかなかやっていただけないものをどのように仕掛けていくか悩んでいます。

「正しい道具」を標準器、「正しくはかる」を被校正品の計測器に置き換えて

TH
 校正部門で計測管理のXY評価による見える化をそのまま使うと、ベテランも低評価になって活用が難しかった。「正しい道具」を標準器、「正しくはかる」を被校正品の計測器に置き換えて校正作業者を評価した。

 標準器精度などの理解に不安があることが分かり、教育資料を作成して指導をした。見える化をして、理解不足の項目を教育することでツールを活用できると思います。後継者の育成は、色々な仕事を全部一人に引き継ぐのは難しい。人材育成が困難な電気分野の自動校正化では、配属されたスタッフに専属で担当してもらいながら、数年でエキスパートになるような育成を始めた。

適正計量事業所制度を拠り所に情報交換も頻繁に実施しグループ全社での計測管理レベルの高位平準化に取り組んできていた

MU 昔はできていたのにという発言がありましたが、私もそのように思っていて、そのような発言は年を取った証拠との見方もあって、今、できる立場の人がやり切ってしまわないといけない。自分がやり残したことだとか、引き継いだかよく分からないことがあります。

 グループ会社全体でみると計測管理は自己完結でやって下さいとされ、各事業所毎に実施しています。先日、KTさんからグローバルの展開について詳しい人の紹介依頼がありましたが、昔は本社に計測管理について全社レベルでの計測管理、人材育成を行う部署があり、適正計量事業所制度を拠り所に情報交換も頻繁に実施し、グループ会社全社での計測管理レベルの高位平準化に取り組んできたが、今はほとんど聞かなくなってしまった。

AS 最近の例ですが、部品図に径の寸法と公差が書かれ、それをQC工程表に展開、計測器としてはさみゲージで検査することになっていた。そのゲージの管理方法を聞くと、製作してから何もしていないとの回答だった。そのゲージは通・止のゲージで良否を判断する道具で、計測器ではないからという理由だった。本来はノギスやマイクロメータで測定するところを、効率化でゲージを使っていますことがわかるように、何のためのゲージなのか、なぜそうしたのかが残っておらず、昔と比べて悪くなってきています。先ほどの基本を伝えるマニュアルを作ったことが、何らかの見直しのきっかけになればと思います。

昔であれば誰かが気づいて、大事になります前に処置がされていたのではないか

NY 私どもの会社でも現場のレベルが落ちていますというのですが、最近気づいたことがあります。昔は現場の人が多かったが今はどんどん人を減らしていて、全体として生産上の問題に気がつきにくくなっていますのではないか。昔であれば誰かが気づいて、大事になります前に処置がされていたのではないか。必ずしもひとりひとりのレベルが下がっていますわけではないのではないか。

阿知波正之(司会) それは渡辺さんの話のように現場の人がどんどん変わっていくなかで、それでも問題が起きないようにしなければならない。

YW 作業者3人の1人を抜けばそれに対応するため設備で対応していますが人を機械に置き換えていてもすべてセンサーに置き換えられるかと言えば人に比べれば十分ではないこともある。

これからの計測管理の活動

仕組の標準化

植手稔 全国計量士大会での意見で、計測管理のコスト削減は当然のことなので、そのことについて何か良いアイデアの発表を期待されたのだと思いますが、現場では人が減っています、検査も計測も派遣や請負いや外国人に代わっています。リソースがなくレベルが下がっています中で、品質を支える計測をしっかりやってもらうためには仕組の中で当たり前の仕事として標準化が必要だが、その仕掛けができずに立ち止っています。

昔の計測は出口での計測でありましたが技術開発のスタートからの計測が大切

AS
 昔の計測は出口での計測でありましたが、技術開発のスタートからの計測が大切でその段階での計測管理をしっかりやっていくことが重要だと思います。JAXAの講演で聞いたことだが、1つしかないモノを作らなければならない開発を兼ねた業務では、シミュレーションがとても重要な位置を占めています。シミュレーションをやってモノをつくらなければならない。

 ロケットが発射時とか宇宙空間でどんな状態に変化していますかを考えますには、不確かさを定量化(確定させる)していくとのことで、分かる部分までブレークダウンして実際に測定したデータをシミュレーションに使うとのことでした。例えば曲がっていますパイプの宇宙空間での熱膨張を考えます際、はじめは曲がりパイプでは難しいために直線パイプモデルで考えて、さらに丸棒モデルとブレークダウンして、宇宙空間を想定して実際に計測しています。細分化したもので測定することで定量化でき、最終的にはシステム全体を定量化できる。計測することを繰り返した結果、どんな難しいモノでも開発できるということだと思います。これからは開発からの計測を根付かせたい。

開発部門の計測管理こそしっかりやらないといけないのではないか

AI
 やはり計測管理部署の管理者が、経営陣に理解して頂けるように、必要性をしっかり説明していくことしかないように思います。

阿知波正之(司会) その場合の目標はどのように設定されていますか。

AI 例えば、顧客の事業動向から〇〇年にそのJCSS校正を可能にするという目標をたてる。モノからコトへの変化からシミュレーションが開発部門も生産技術部門へも提案されてくる。トレーサビリティというと生産部門の品質管理とかでよく言われていますが、開発部門の計測管理こそしっかりやらないといけないのではないか。結局、そこで開発できたものが生産部門で標準化されていくことになります。

MU 上流部門に計測管理がしっかり組み込まれたという話で経営に対して、アピール度が高い。

NY 定性的にはよく理解できるのですが定量的に説明しきれるものですか。

AI 例えば業務を外部に出したら外注費、納期が当然かかるわけで、ただ最終的には品質に対するその企業のスタンスだと思います。

阿知波正之(司会) そこのところは基本思想として「測れないものは作れない」との基本思想がある。

計測のことで合理化してコストを下げましたとか示さないといけない

MU 測れないものは作れないという上流の思想だが、多くはまだ結果の出来栄えの計測の計測管理をしており、なかなかアピールするのは難しく、しっかり管理して市場クレームを防いでいます程度のことで、何か問題が起き計測が悪いとなりますと鬼の首を取ったように言われる。たまに計測のことで合理化してコストを下げましたとか示さないといけない。

RH 不確かさについて、まだ踏み込めていないところがあって皆さまの話を聞いて、その考え方を自分の会社の中でどう生かせるか考えて生かせればいいなと考えています。

RK 出席された皆さんの計測に対する考えについて聞かせて頂いたこと、現職場で問題提起されたときに有効活用させて頂きたいと考えています。

阿知波正之(司会) 本日は限られた時間でしたが、現状の計測管理について自由闊達に述べていただき、司会の進行が不味くややまとまりを欠いていますが、広い角度からの発言をいただきありがとうございました。


品質工学座談会-機能性評価と計測-2020年2月28日公開(計量計測データバンク)

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